2018年3月に米クラウドコンタクトセンターのプロバイダーとして高い評価を得ているBright Pattern社のSVPに就任したHays氏に、コンタクトセンター業界におけるテクノロジーとイノベーションの未来について行われたインタビューが公開されていましたので、許可を得て翻訳し、その一部をご紹介します。
– その幅広い経験から、2018年のコンタクトセンターでのテクノロジーの役割について予測できますか?
コンタクトセンターにおいて、イノベーションがかつてこれほど重要だったことはありません。顧客はより多くのモバイルとデジタルデバイスに精通しているので、企業がパーソナライズされた個人的な経験を提供することを期待しています。AI、チャットボット、機械学習の融合は、パーソナライズされた経験を提供する上で重要です。専門家の中には、2020年までに顧客とのコミュニケーションの70%以上において、このような新しい技術が用いられているという見方もあります。一方で、人間は相手の感情を理解し、顧客との関係を築くうえで機械に勝るので、AIによる業務革新と共存させることは重要です。これにより、顧客満足度だけでなく、エージェントの満足度も向上します。
これらの新技術を実装する際には、顧客からのフィードバックを得て、技術の有効性を分析するレポートシステムをもつことが非常に重要です。
— クラウドに移行する前にIT担当者が経験する、共通の懸念事項(苦労するポイント)は何だと思いますか?
ITリーダーと話をする中でよくある勘違いの一つが、コンタクトセンターのソリューションが自社のデータセンターにない場合、管理を自社で行えないという点です。しかし、実際のところ、近年開発されたクラウド・コンタクト・センター・ソリューションを使用するなら、セルフ・プロビジョニングは社内の複雑なソリューションを使用せずに、コンタクトセンター・プラットフォームをカスタマイズして実行するための環境を提供します。さらに、クラウドベースの運用では、ハードウェアの維持やシステムのアップグレードを必要としないなど、多くの利点があります。これにより、IT内の他の重要な領域で作業する余裕ができます。
他の懸念事項としては、データやネットワークのセキュリティに関するものがあげられます。こちらは、最近相次いでいる大手企業の情報流出問題により、懸念や不安が増しているのが事実です。
とはいえ、そのような風潮は、実際の問題点やリスクについて企業のITに関する教育を徹底するための良い機会になるでしょう。実際、クラウドプラットフォームのほうが通常、従来のシステムよりも安全です。クラウドで成功している企業は、セキュリティ上の脅威から保護するために厳しいセキュリティと監視ソリューションを実施しています。
– クラウドへの移行について決めかねているクライアントに対してどんなアドバイスをしますか?
ここ10年でクラウドコンピューティングは大きな発展を遂げてきました。多くの企業では以前からの解決策に頼っているかもしれませんが、それはコンタクトセンターに関しては基準を下回るものになりかねません。革新のスピードや競争力を維持するうえでの顧客体験の重要性に加え、クラウドでオムニチャネルのコンタクトセンターソリューションを検討してみるのはいかがでしょうか。「サブスクライブ」により、企業はマーケティングや他のニーズに投資してビジネスを成長させるための資本を得ることが可能になります。
– クラウドへ成功裏に移行するなら、どのようなメリットがありますか?
クラウドベースのコンタクトセンターには多くの利点がありますが、その中でもトップ5をあげましょう。
1. 柔軟な費用構造 —
クラウドコンピューティングにより、企業はハードウェアやソフトウェアライセンス料などのコストを削減できます。これにより企業は、資本支出から「サブスクライブ」モデルへと移行し、資金繰りの助けとなります。さらに、季節によりオペレーターの人数を変える必要のある企業にとって役に立ちます。
2. 企業クラスのソリューション —
クラウドサービスは、デプロイ時の脅威を取り除き、エンタープライズクラスのソリューションに、より簡単にアクセスできる方法を提供します。これにより、中小企業が高度なソフトウェアを手ごろ価格で使用でき、競争上の強みを得ることができます。
3. セキュリティとリカバリ —
すでに述べたように、クラウドコンピューティングは、一般的な拠点ベースのソリューションよりも高いセキュリティを提供できます。多くの企業、特に中小企業は、クラウド環境が提供できるようなしっかりした災害時のリカバリ環境を持つこととデータの保護への投資や、必須の専門知識が不足しているのが現実です。
4. システムメンテナンスと更新 –
クラウドベースのコンタクトセンターソリューションを導入することで、ハードウェアや複雑なソフトウェア更新を維持するための資金が節約できます。セキュリティ更新プログラムを導入することで、クラウドベースソリューションを提供する企業はメンテナンスと更新を請け負います。これは、企業がハードウェアやソフトウェアの維持にではなく、ビジネスの成長に資源を投入することに役立ちます。
5. リソースの仮想化 –
クラウドコンピューティングにより、いつでもどこでもインターネット接続が可能になります。自宅のノートパソコンからでも、必要なときにいつでもシステムへアクセスできます。